忘れる前に。 |
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| メイドさんの中に小さなメイドさん。メイドさんはそうやって増えてゆくらしいのだ。
けれども、今年の夏は猛暑で、しかも打って変わって秋は冬のようで、その温度差は大きく、揮発性の高いメモリを採用したメイドさん達の脳は、次々に繁殖の方法を忘れてしまい、今では増え方を忘れたメイドさんが何とも清楚に振舞っているのだ。
「ねえ、主人様、私何かとても大切な事を忘れてしまっているようなのですが。」
僕は、気のないフリをして、メイドさんに答える「そんなこと君の問題だろ、主人である僕が考える事でもない。」
「そんなこと言わないでください、私だって困っているんです。」
メイドさんの中の小さなメイドさん。それは何時生まれるのだろう?
「ただ、一つ言えることは、僕はまだ忘れてないって言う事、僕が忘れない限りは、まだまだ希望は残っているはずなのだ。
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7月12日(木)20:59 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説・文芸 | 管理
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