第八賞 綺麗な便器のままで① |
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| そこはメイドさんの部屋。 どうやら僕らは長い旅の末、何とか知っている場所に漂着できたようだ。窓の外は朝焼けでピンク色に染まる前、早朝の青に霧がすこしだけかかっている。メイドさんも目を覚ましたようだ、窓を開けると外には自転車で僕らを助けに来たヒーローが自転車を止めて待っていた。
「彼ならきっと、あの子を大切にしてくれると思うんだ。」メイドさんは言った。僕も同感だった。なぜなら彼には助けてもらった恩もあるし、頭部だけで下半身の無い彼ならきっと人形である僕らの娘を本当の意味で愛してくれるだろうという父親の感傷を感じたからだ。 僕とメイドさんは昨日三歳になったばかりに娘を嫁に出すために、親子三人で外に出た、僕は毛布の入れられていた、あの大きな籠に娘を座らせ、彼女は新郎に「娘をお願いします」と挨拶をすると、彼は神妙な雰囲気でうなずくと自転車のハンドルを引く。 ゆっくりとポニーが走り出した、僕ら二人は空が青から赤に変わるまで彼等を見送り、ある決意をやっとする。
「子は鎹っていうけれど、まるで熟年離婚みたいだ。」メイドさんは笑って、そしてほんのすこしだけ寂しそうに、でも誇らしげに「メイドを卒業するわ。」と宣言した。
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10月5日(金)10:20 | トラックバック(0) | コメント(1) | 私小説 | 管理
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電話で話してたバンドですよ
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| http://www.youtube.com/watch?v=aJF8ykLv_Ko&mode=related&search=
ボーカルの人似過ぎてない? 音はT先輩が好きそうな感じではあるが。
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by 駄目な人 | 10月8日(月)23:36
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