兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



2007年9月4日を表示

第七章『闖入者、眼鏡と生理用品の行方』④

もう駄目だ、そう思ったそんな時、奇跡は起こった。何時の間にか彼女の足元に何か落ちていたる。それは白い紙か布で作られたような質感。大きさはそれほど大きくなくて、帯状をしている。そしてその中央には重症患者に巻いた包帯に滲んだ血のような文様が浮かんでいる。
そうだ、驚愕する事にそれは使用済みの生理用品だった。どうして落ちたのかは知らないが、ほんの少し前にはそんなものは無かったし、今この建物に存在する女性は、彼女だけだ。
 生理用品とは、しゃがんだり、立ったり、腰を振ったりを繰り返すだけで、股からずれて落ちるようなものなのだろうか?僕は気を使い、街で会社員が乞食を見て見ぬフリをするのと同じように視線を泳がせる。
 ダンスに熱中している彼女は、一分ぐらいの後にそれに気づいて、あわてて拾うとトイレに駆け込んでいった。それはいいとして、ナプキンの丁度中央の、小さい赤いシミの遠慮がちな小ささが、彼女の純潔を演出しているようでもあり、男を誘惑する淫らな武器のようにも思える。

 これはただの偶然か、それとも何かの信号か、信号とすれば赤い信号。あの時彼女の後を追って供にトイレに入って、事を済ませたほうが、良かったのだろうか・・・しかし、そんな逡巡も直ぐに終わった、さっきまでストリップショーを楽しんでしたKの顔は打って変わって青ざめてそれと同時にトイレに駆け込む、しかし悲しいかな、トイレはメイドさんに占領されているのだ。
Kはしばらくトイレのドアをノックし続けたが、ドアの向こうからは全く反応がない、どうせメイドさんがマスターベーションに夢中でそれどころではないというのが関の山だろう。しかしKの容態は一秒一秒崩壊に近づきつつある。ついに彼はノックをやめるとクルクルとその場を回り始める。
「はははははっ」先輩は、そんなKを見て大笑いする。僕の脳にも間もなくさっき飲んだウイスキーのアルコールが転送されてきたようだ、はははははっ歓声と供に僕の理性も吹き飛んでいく、先輩は一動作で飛び上がってKに襲い掛かり、彼のチャームポイントであるメガネを奪うとぼくの方に放り投げてくる、「メガネでバレーボールだ!」先輩のレシーブに僕はスパイクで返そうと思ったが、素面でもあまり良くはない運動神経が災いし、メガネは僕の肩に当たり、これまた運の悪い事に窓の外の闇に消えてゆく。

「わああ、辞めてくださいよぉ」Kは酔いと、裸眼ののせいでもう真っ直ぐ歩くことも出来ない、「よーし、捜索隊の出発だ!」先輩の掛け声と供に僕らは一同、闇に消えたメガネの捜索に外に飛び出した。



こっちの方だと思うんですがね、ほら家の窓があそこでしょ。「なんか光ってるぞ、あの芝の辺り。」「気持ち悪い、気持ち悪い」先輩がメガネらしきものを発見し走り出したのと、Kが側溝の上で戻したのはほぼ同時、Kが全て吐き終えると、先輩がすたすたと戻って「ほーら合体だ!」ふざけながらぐったり蹲るKにメガネをかけてやる。
Kはメガネが戻ると嘘みたいに生気が戻り立ち上がる「おおっ、復活だぁ。ならばいざ行かん。」先輩はKの手を引いて走り出す、Kは千鳥足でついていこうとするが上手くいかず、ホークダンスのマイムマイムの足取り。気分がよくなった僕もスキップしながら付いてゆく、少し歩いて駅の近くに焼き鳥屋があるんで、そこに行きましょうか、それとも牛丼にしましょうか?
透き通った夜の街、アルコール臭を放つ男三人は終電間際まで飲み続けた、そう思う、そうだその後、彼等を駅まで送って、それで僕は家に帰って・・・さあ、本当にそうだったのか、なんせ途中で記憶が飛んでもう飛んでしまって殆ど何も覚えていないのだ。

 そして、それが長い長い夢のような生活を締めくくるための旅が始まるのだった。



9月4日(火)09:33 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理


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