第七章『人権問題、そして奴隷狩② |
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| 何となくひとりのベットには居たたまれなく成ったので、メイドさんの部屋に忍び込む。どうやらトイレから出てもう就寝中らしい。布団は生八橋の餡の部分のように人間型に膨れている。数時間前はあれだけ拒んでいた事をふしぎなほどに何の躊躇無くしたいと思った、きっと寝ぼけているのだろう。僕は布団を剥ぎ取ってメイドさんに抱きついた。 「何するんですか!セクハラですよ」と飛び起きてメイドさん、いやこれはセクハラでなくて強姦だよ。しかし、君は僕のメイド、奴隷だろ、何をしても合法といえるだろう。
「そんな・・・ご主人様も会社員じゃないですか、労働者なんて待遇の改善された奴隷に過ぎない、あなたは社長に強姦されても文句は言わないの」まさか、そんなはずあるもんか、しかし、綺麗な女性社長なら・・・いや、病気は怖いからな。 「私も病気が怖いんですよ。」 「僕は童貞さ、知ってなかったっけ?」 「それが何の証明に?」 「血液検査したっていいさ。」 「本当にしたいなら、お金払っていただかないと」ふん、バカ言うんじゃない!男性の射精なんて、中学生を過ぎれば、高揚感も無い単なる排泄にすぎないんだ。一々排泄なんかに金が払えもんか、公衆便所は無料と相場が決まってる。 「馬鹿はどっち、これは、人間扱いするための代金。通勤電車だって、特急券の買えない貧乏人は家畜同然にされるでしょ、それに、公衆便所は病気の巣窟」
朝、奴隷船ならぬ、通勤電車に乗る時のアナウンス「車内は非常に込んでおります、三号車、四号車にグリーン車が接続されています。グリーン車が空いております、グリーン車が空いております」そういえば、前にメイドさんと電車に乗ったときのも同じようなアナウンス聞いたな。 そうだ、グリーン車に乗れば人権が保障される。グリーン車があるために、他の車両が込むんだけどね でも、よく考えてみな、この世の中、どんな場所でも人権が保障されるためには、追加料金が必要なものなんだ。 ちゃんとした物を食べるためにも、ちゃんとした家に住むためにも、ちゃんとした服を着るにも、そしてちゃんとした女を抱くためにも追加料金が必要なんだ。 「じゃあ、追加料金お願いします。」メイドさんは、そう言って、服を脱ごうとはしないのだ。
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9月16日(日)20:41 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理
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