兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



魔女狩りの季節2

今年も、もうわずかですね。この前の続きです。




こんな話をすると、暑さで頭がおかしくなったのかと思われるかもしれないが(そうでなくとも、僕は多かれ少なかれ、周囲の人間に変わり者と思われているらしいが)そう考えれば全ては自然に辻褄が合うのだからしかたがない。例えば世界が平面から球状に成ったのだって、外輪山に繁殖力の強力なメイドさん達が住むようになり、爆発的に人口を増やしてしまったため、その人口を維持するために資源を求め山を削り、山がなくなってもなお、資源が足らないで地面を削り続けた挙句にこの世界は平面からまるで彫刻を作るように、立体的な球体になってしまったと考えれば、全ての説明は付いてしまう。

そうさ、それくらいにあの頃メイドさんは増えてしまった。だから教会も王様も民衆たちもメイドさんを減らさなければ、このままでは世界は削られ続けてなくなってしまうと考えたのだ。でも、メイドさんといっても、彼女等の外見は人間そっくりだからね、殺すのは倫理的にも気分的にもあまりいいもんじゃない。
だから、もっと殺してもいいものに、彼女たちを摩り替えなきゃならなかったんだ。そしてそれが「魔女」だった。今でこそ魔女は「魔女っ子」なんて言われて人気者だけれど、昔はそんなのいなかったから、魔女なんて鬼畜生と同じようなものだとされていた。本当に害虫を駆除するのと同じように、人々はメイドさんたちを捕まえて殺していった。でもその頃の人々にとってそれは世界を救うために必要な行為だったのだ。

でも、今考えるとやっぱり「魔女狩り」なんてもったいない話だ。僕なら世界なんかより絶対にメイドさんを取るだろうな。まあ僕はあの頃まだ生まれてなかったからどうしようもないのだけれど。

不意に前を歩っていたKの足が止まる。砂浜に続くコンクリートの橋は終わり、この先からは地面は砂だけになる。「まだ、この季節なら、あの向こうに外輪山があるはずなんだ。」彼は悔しそうに水平線の向こうを凝視している。
「そんなわけないでしょ、Kさん。もうそんな季節終わってるよ。」Sは呆れたようにその場にしゃがみ込む。

そうか、もう終わったことなのか。じゃあ、僕らは何を救うためここまで来たんだろう。いやもちろん僕は魔女狩りからメイドさん達を逃がすためここまで来たんだ。そのために陽動用にロケット花火と打ち上げ花火を持ってきたというのに、この浜辺は花火禁止って言うじゃないか、どうするんだよ。

「もう、どうしようも無いよ。」Sは機嫌悪そうに振り返り、今来た道を戻り始める。Kもしぶしぶそれに続いてゆく。ああ、彼等は本当に世界を救おうとしてたんだな、僕だけはただ私欲に従って、世界を救うためってカッコつけてメイドさんを保護にきただけなのに、彼等は本当に・・・でも遅かったんだな、駅前で蕎麦を食べなければ間に合ったかもしれないのに、本当に夏という季節は過ぎるのが早いものだ。
 入道雲と青空のコントラストをバックに、とぼとぼと歩きだした二人の友人の痩せた背中を見つめながら僕は何となくそんなことを考えた。

 「おい、お前ら、どうしたんだよ!」
 駅に向かおうと歩く出して直ぐだった、すっかり忘れていたけれど、待ち合わせしていた先輩が、今頃浜辺に到着し、ションボリしながら歩いている僕らを呼びかけたのだ。
 
 「ああ、先輩。遅かったですね、もう終わっちゃってよ、収穫ゼロです。」Kが元気なく先輩に答える。すると先輩は、興奮した様子で「終わってなんかねえだろ、これからが本番だぞ。」と缶ビールの沢山入った駅前のコンビニの袋を掲げた。

 海岸は火気厳禁だがアルコール厳禁では無いらしい。そういうわけで、僕らは海岸で飲み会を開始した。



12月30日(日)17:45 | トラックバック(0) | コメント(0) | メイドさん | 管理

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