兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



第八章 綺麗な便器のままで③



彼女の家を出ると、先輩とKがワゴンの中で半分昼寝して待っていた、この後もう一度僕らはあの3LDKのアパートに戻り、今度は僕の荷物を積んで僕の新居に運ぶ作業が待っている。サラリーマンの貴重な休みはそうやって猛スピードで過ぎ去っていくのだ。
午後は、先輩が少し疲れている様子の僕を気遣って運転を買って出てくれた、僕はKと後部座席で二人で座る。僕は夕方までに僕の分の引越しの作業も終えるにはどういうペース配分で作業を進めればいいか、アパートに戻るまで考えるつもりだった。
でも、なんだか頭が思ったより混乱していて考えがまとまらない。どうしたんだろうか、いや、思い当たる節はある。
そう、実のところ僕は彼女を愛していたんじゃないかという疑念が頭の中に救ってしまっているのだ。僕はちょっとだけ恋をした事はあるから、彼女に恋をしていたわけでは無いということは、言えるとしてもだ。まだそこまで人を愛した事はないと思うので、愛がどういうものか解らない僕には、彼女を仮に愛していたとしても、それを自覚する事が出来なかっただけかもしれないのだ。

これは困ったな。僕はため息をついた。でも考えてみれば、それでいいんだと思う。だってこんな、短い私小説で「愛」が何たるかなんて語れるはずは無いのだから。いや、きっとこの世の全ての書籍を集めたとしたって、語りつくせないほど「愛」というものは難しいに違いないのだ。

でも、何もしなければこのまま混乱したままになってしまう。別にそれでもかまわないけれど、出来る事があるならしておきたい。
僕は引越しが終わると最初にダンボールからパソコン一式を取り出して、ワープロソフトを立ち上げると、この私小説、最後の一節を書き始めた。





11月12日(月)11:09 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理

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