兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



第七章『闖入者、眼鏡と生理用品の行方』②

いや、待てよ、でも、やっぱりメイドさんは家族じゃないな。だってメイドさんだよ、使用人なんだよ、家族なんかであるもんか、家族じゃない以上、犯しても近親相姦にならい、昔の人は一つ屋根の下の異性と情事を図るためにメイドという職業を作ったのかもしれない。
 そう思うと、久しぶりに胸が躍る。虚勢処置をされたオス犬の性器が再び生えてきたような高揚感。さりげなくメイドさんに居近づき、肩を撫でたりしてみる、「ねえ、」声をかけられ動揺するものの、彼女は姿勢を全く変えず、まるで僕が触っている事に気づいていないかのように続ける「この光景どう思う?」そうだな、なかなかシュールに映るかもね、僕ら家族はとても個性的だから。そう考えると僕らは日々の生活でシュールレアリズム運動に奔走する生来の芸術家といえるんじゃなかろうか?
「シュールレアリストはリアリストよりも合理主義で、ニヒリストよりも理想家でなければならない」とメイドさんは答えた。なるほど、そうすると僕が大学で専攻していたマルクス主義とシュールレアリズムには、幾つかの共通点があるのかもしれない。
 しかし、共産党員でない、マルクス主義者達は愛が、自らの思想の前提になっているというが、メイドさん、君の思想は、いや、思想なんてこの際どうでもいい、君の心の根底には今どんな感情があるのかな?

 そして僕の心は、

 例えば、人が人形・・・ダッチワイフ等・・・に愛の告白をする事は、まさしく人類を含めた他の有性生殖をする生物に対する宣戦布告に匹敵する行為なのではないかという事。
 ならば、もし、この僕が、メイドさん・・・つまり、人ならざる奴隷に、愛の告白をするということはどんな事か・・・
「愛は絶望的な恋で、恋は理想的な愛なんだと思う。」と、いつかこの話をしようとしたときには、あからさまな拒否を見せたメイドさんから、短いながらも答えが返ってくる。
確かにそうかもしれない、でも突き詰めれば、愛も恋も単なる集団的な思い込みに過ぎないと僕は思っいる。相互的な麻薬生産者と麻薬消費者の関係に過ぎないんだ、みんなは、それをかっこつけて『愛』とか呼んでいるだけだ。

 どの道、僕ら二人が愛について語り合うなんてとんだお笑い種だ、僕らにあるのは契約と感傷ぐらいだろう、希望的観測をすること自体悲しい事だ。
 しかしだ、今僕を突き動かすこの感情(メイドさんを撫でる僕の手はその標的を、彼女の肩から髪に変え、更に耳たぶに至ろうとする、耳たぶは彼女の性感帯の一つに違いないのだ。)は一体なんなのだろうか?
僕の下半身は、あのはちきれんばかりに血気盛んな、中学生に戻ってしまったのだろうか?

今の僕をどう思うかとメイドさんに訊くと「男子中学生は性的なファシストであり、ファシストは本当の女性の前では中折れ」だと答えた。
 なるほど、これは興味深い。メイドさんとの会話は、なかなかの僕の財産かもしれないね。
 結局、男子中学生=性的ファシストの思想の根源には「自慰」にあるような、オナペットの昇華され、美化されすぎた性衝動とエロチズムの孕む背徳性のせめぎ合いというものがあるのかもしれない・・・いや、こんなどうでもいい考察はもう真っ平だ、今の僕の状態がどうかなんて関係ない、メイドさんを犯せれば、それでいいじゃない。
 そう、最低でも、メイドさんを犯せれば、僕がどんなに腹が減ったって、メイドの腹は膨れて行く、
 それを横目で見て、未来を探る。未来があると仮定する、未来になれば男子中学生もきっと、高校生くらいにはなれるんじゃないかと。

「キミの性衝動についての認識は甘いなぁ。」メイドさんは自らの耳たぶを恐る恐る撫でていた僕の手を掴むと、その手のひらを自分の胸の方に引き寄せる、僕は、自分でもわからないうちにとっさに彼女の手を振り払って、彼女の思惑を阻止していた。

ああ、いつかとまた同じことをしているな。



9月2日(日)01:23 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理

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