兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



第七章『人権問題、そして奴隷狩』⑥



車は会社の営業事務所に向かうため。地下鉄駅に横付けされた、「送ってくれてありがとう」メイドさんに挨拶して、車を出る前に服装の乱れを確認する。すると奇妙な事に、コートの下は、白と黒の逆転したエプロンドレスだった。
これは困った事だ。急いで黒いフリル付きのエプロンを脱ぐと下は白いワイシャツだ。これなら違和感は無いが、ネクタイが無くては仕事にならない。
 僕は車でショッピングモールまで行ってもらい、そこでネクタイを探す。しかしなかなか見つからないため、布を買ってミシンをかける羽目になる。もう午後二時だ、僕は半べそで、会社に電話する。完全に遅刻。冷や汗が噴出す。

 寝苦しさから目を開くと、布団の中で、二人とも汗ばんでいた。気温と体温と布団があつすぎたのだ。メイドさんが湿ったパジャマを脱ぎ始める。僕はメイドさんの背中にもたれて、自分も服を脱ぎ始めた。また汗をかきそうだ。
 その後も、会社で、労働の汗をかく。汗は体臭となって、僕を不快にさせたが、そうこうしている内に、終業時間。

 「業務が終わればメイド狩り!」

 「業務が終わればメイド狩り!」

 駅前のスピーカたちは、何が楽しいのか、愉快そうに歌っている。この街ではメイド狩りが夕方以降行われるらしい。
僕が早速手にしたものは棒の先に半円状に弧を描いたパイプが取り付けられた、さすまたのような物だった。
 でも、さすまたは敵を遠ざける為のもの。しかし、これはメイドさんを捕まえるための道具だ。使い方はカンタンだ、さすまたのように対象、つまりメイドさんの胴に半円形のパイプを押し付ける。するとスイッチが入って、半円形のパイプの先の部分から、円を完成させるようにもう一本一回り細いパイプがと飛び出して、メイドさんを捕獲する。始めは大人の玩具屋でしか捕獲用の道具は買えなかったが、メイド狩りが一般化するにつれて、今は少し大きめの雑貨屋やホームセンターでも、道具は買えるのだ。

 なにせ、この街はメイドだらけだ。メイドさんは一年中発情している上、知識が足りないので、増えてしまうのも当然だ。
 メイドさんたちは昼間、道を丁寧に箒がけしている。それは何と、献身的な絵か、しかし街が夜に染まれば、メイドさんたちに行くあては無い。流浪の民は、時に野良犬や野良猫以上に嫌悪されるのだ。
 物々しいメイド捕獲機、僕も同じメイド狩りのサラリーマン連中に混じって、灰色の背広を着たまま、メイド狩りに勤しむ。メイドを捕まえたら、通勤列車という奴隷船にメイドさんを詰め込んでいく、目的地は何処だったか?
 そんなわけで、通勤列車はメイドさんでいっぱいだ。僕らの入る余地は無い。これでは帰れないじゃないか、僕はあてもなしに歩き始める。公園の公衆便所の窓から白い手が覗きヒラヒラとゆれる。



9月25日(火)16:26 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理

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