兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



第五章、家庭の洗濯機③



 連休も最終日、店内に客は疎らだ。その殆どが子供ずれの夫婦だった。僕らは、豚バラの五百円のランチ二人前と鶏肉のプレートと、そしてビールとサワーのタダ券で、アルコール飲料を四本頼んだ。
 周りの家族は子供を囲んで、楽しそうに焼肉を焼いている。そんな中、二人きりの僕らはまるで出来損ないの大人みたいだ。『家に帰ればちゃんと人形とはいえ娘がいるんですよ』と言い訳しようと思ったけれど、まだ子供の娘を置いて二人で焼肉屋に酒を飲みに来る夫婦もやはり出来損ないといえるだろう。
隣に座った家族の女の子が、こちらに振り向いてニコニコ笑って手を振った。三歳児くらいだから、何があっても楽しいのだろう。
「休みの日はやっぱり家族連れが多いな。子供は可愛いよね。」
「子作りでもしたいんですか?」
「産んでくれる?」
 「ちゃんと育ててくれる?」
「自信ないな、今の子供たちって大変じゃないか。小学生でも塾通い、一日12時間学習は基本らしい、過労死する子供も出ているそうだし、塾に行くのが嫌なら、カップルになって路上で遊びまわって性病を移しあうか、ぐれてバイクに乗ったり万引きするしかないからね。今じゃ引きこもって何もしない子供が一番健康だって話さ。」
「じゃあ、子供が欲しいだなんて、同居してる異性に言うべきじゃないね。」
「別に僕はそういうつもりで言ったんじゃなかったんだよ、子作りだけならサルだって出来る。僕は人間だからね、こういう風景見せ付けられると、結婚してみたくなるよ、だって結婚は契約だからね、契約は人間にしか出来ない高尚な事さ、子作りとは訳が違うんだ。」
「結婚ねぇ、ピンとこないな。」メイドさんは小皿を取って、それにタレとにんにく、コチュジャンを盛って混ぜ合わせている。
「そんなものかい、もっと憧れとかもってるのかと思ったよ。だって大体、結婚って女性のものだと思ってたからね。だって結婚がテーマの小説は殆ど女性が書いたり主役だし、マリッジブルーも女性の物だし、結婚式だってしたいと思うのは女性の方でしょ。だから、時々僕なんて、男の目線から結婚とか考えるとどうなるかなって考える時あるよ。」
 「ははは、彼女も居ないのにそんな事考えてるの、笑っていい?」どうやら僕は馬鹿にされてるらしいな。でも、メイドさんが大きく笑うと、その豊かな乳房が揺れるから、それを眺めるとなんとも言えない穏やかな気分になって、怒りなんて忘れてしまう。
 「笑ってもいいよ。この前僕の同期入社の女性なんかは、『結婚なんて大したイベントじゃない』とか言ってたけれど。イベントって祭りだろ、祭りは日常ではないから、つまり時間軸でいう『点』てことでしょ。でも僕は結婚ってのは日常、つまり『線』だと思うんだよね。」
「なるほど線か・・・日本のさ、結婚って打算的だから駄目。家事してもらおうとか、旦那の給料で暮らしたいとか、老後見て欲しいとか、そういうふうに楽出来ると思って結婚するから、楽できないと嫌ん成っちゃって、相手の事も好きでなくなったりするんだと思う。」
 そうかもなと僕。
みんな小さい頃は、誰でも出来ると思っている結婚、確かに結婚の内実は誰にでも出来るような事だと思う。
 でも、結婚にまで至る道は、結構な難易度だ。まず好きな人を探して、その好きな人に他に好きな人が居ないか、既婚かどうか調べたり、その人が、自分のことが好きか訊いてみたり、両想いだと解っても、デートという面接を繰り返して、それが上手くいったら、最終面接、相手の親に会って挨拶しないとならない。結婚って就職活動に似ている。

 そうそう、ちゃんと就職活動しないと、いざ入社してから、その会社と自分がミスマッチだと気づいて、嫌な思いしたり、直ぐ辞めたくなったり。



8月22日(水)09:15 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理

コメントを書く
題 名
内 容
投稿者
URL
メール
オプション
スマイル文字の自動変換
プレビュー

確認コード    
画像と同じ内容を半角英数字で入力してください。
読みにくい場合はページをリロードしてください。
         
コメントはありません。


(1/1ページ)