兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



第二章、『脱皮』⑤



はっとして、目を覚ます。彼女はまだ仰向けの僕を見下ろしている。「やっと、起きた、凄い汗。チャイム鳴らしても出ないから合鍵で入らせてもらった。」彼女は洗面所にタオルを取りに行った、もう、あの着ぐるみから着替えて普段着になっている。マラソン大会の後のように、全身に乳酸が溜まったようにだるくて動く気がしない。
タオルを持って帰ってきた彼女は、僕の額を拭いて、「着替えも出すから。」と言って、自分の部屋の箪笥のように迷い無く僕の着替えを選んでゆく。どうやら、留守にしたときに案の定、あさられたらしい。でも今は逆に都合がいいけれど。
着替えを用意し終わると、彼女は僕の顔に続けて首筋、胸元と拭いてゆく。「さあ、そろそろ起きて。」と彼女は布団を剥ぐと、彼女は妙に困った顔をして動きが固まった。彼女のこんな面白い表情を見たのは初めてだ。そう思って笑おうとしたが、妙な悪寒みたいなものがする、少し起き上がると。パジャマは全体に湿気ているものの、股間の辺りだけ際立って濡れている。

「あっ、あの、お漏らしじゃないから。」僕は夢の中以上に混乱している。
「うん、解ってるから、心配しないで。」彼女はさも精一杯の笑顔という感じの表情で僕の目を見て、肩を擦ってくれた。
涙が出てきた、あんまりに情けなくて、馬鹿みたいで。「今、拭いてあげるから、その後シャワー浴びて綺麗にしよう。」僕はきっと耳まで真っ赤になってるに違いない。まるでこの異常事態が自分のものでないかのように、僕は僕を見ている。幽体離脱ってこんな感じなんだろうな。
「失礼します」彼女は看護婦のように、僕のパジャマを脱がせ、「シャワーあびてくるといい。」汚れたパンツい一丁の僕を浴室に誘導した。



シャワーの中でも泣きっぱなしだった。「着替え置いておく。」とドアの向こうで彼女。着替えを浴室の扉の前に置くと部屋に戻っていった。

シャワーから上がると僕はアイロンのかかったシャツを着て、恐々と部屋に戻る。彼女はパジャマやシーツ、タオル、そして洗濯籠の中で濡れたパンツを洗濯籠に運ぼうとしている最中で、僕を見るなり財布を渡して「何かお酒、買ってきて。つまみも作って欲しいから、材料もお願い。」と僕を外に送り出してくれた。



7月29日(日)10:29 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理

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