兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



さよならメイド先生2

一昨日の続きです。

『第二話、メイド先生、父と乳を間違える』
クラスは呆然としている。皆、メイド先生のおかしな質問と、この僕の呆れた答えに口が開かない様子だ。
しかし、驚いているのはクラスメイト達だけでは無かった、この一連の流れを作ってしまったメイド先生、その人も愕然としている。
教室にいつ終わるかも知れない、沈黙が襲い掛かる。僕はこの時ほど、人間が本質的に沈黙を恐れるのだという事を知らしめされた事は無かった。
「はにゃ、ふぇ―ん。」
アニメのような人の泣き声がその沈黙を破った。この余りにも重たく、ぶ厚い静寂をいとも簡単に破り捨てたのも、メイド先生その人だった。メイド先生は可愛らしく涙を零しながら、教室の外に出て行ってしまった。そして対に僕の見方は一人も居なくなった。

数分後、校長が教室に来て、メイド先生はちょっと体調が悪いからと、一時間目は自習にしますと言って、外に出て行くと、再び室内には沈黙が宿る。しかしこの沈黙は先ほどの沈黙とはまるで別の性質を持っている。
皆、さっきは何をすればいいのか解らず、沈黙していた。それとは逆に、今は皆、何をすればいいのかちゃんと解っている。コレは所謂、嵐の前の静けさという奴だ。しかし、僕だってただ、こんな四面楚歌の状況下に置かれ、これからどうしようかと、オロオロしているだけかというとそうじゃない。もう僕は高校生だ(ちなみに二年)、子供じゃない、解っている。解りきっている。これからどうすればいいのか、簡単だ。もう、このクラスで平凡な転校生という地位を失ってしまった以上、もう、何も気兼ねする事はないのだ。そう、僕は今や、メイド先生の主人なのである。メイドが主人の奴隷であるなら、教師の奴隷である生徒たちもまた、主人、つまり僕の奴隷なのである。
「おい、お前。何、調子に乗ったこと、かましてるんだよ。」
嵐の前の静けさという、あまりにも陳腐な沈黙を破ったのは、これまた貧相な精神の、クラスのゴロツキバンチョウで、それを引き金に、まるでダムに小さなひびが入り、そこから一気に決壊に至るように、クラス中から僕に向かって、罵倒がぶつけられる。しかし僕は、全く気にならなった。奴隷の訴えに、いちいち耳を貸してやるほど僕は、気のいい主人ではない。僕はメイド先生の誇り高き主人なのだから。

そのころ、メイド先生は保健室で、自分の心を落ち着かせようと必死だった。しかし心的な気分の高揚は、肉体へと伝染し始めている。
「はあ、はあ。そうです、私は先生なのですぅ。初対面の生徒には、自己紹介をしないと……それが普通ですよね。」
メイド先生は、常識という理性の盾に逃げ込もうと必死にもがいている。しかしそれが逆にあだになった。
「えと、えとですぅ。私はメイドで先生なのですぅ。生まれはメイドの里で、母親はメイドで、父は……ちちは……お乳は!」
メイド先生のユルユルの理性は、その火照った体も手伝ってか、その一言で、簡単に散っていった。
ベットに座っていたメイド先生は崩れるように倒れこむ。そして、そこに居合わせた、保健医の先生がそれを見逃すはずは無かった。



8月25日(金)20:36 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説・文芸 | 管理

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