兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



第三章、『TV泥棒』⑤



朝、目覚めると頭が痛い。どうやら昨夜は彼女と話している間に酔って眠ってしまったらしい。時計を見ると午前10時を回っている。
「おはよう。」

彼女はメイド服のまま、机に座ってコーヒーを啜っている。「コーヒーに少しだけスコッチを入れるのがおいしいんだ。」
「あの、昨日は強姦されたりしなかったかい?」どうもアルコールのせいで記憶が曖昧だ。

「あたしも途中で寝てしまったから解らないな。次の生理までこの問題の回答は保留ね。」彼女はコーヒーを飲み終わると早速作業に取り掛かる。ミシンの前には、もう小さめのエプロンが半分完成していて、後はフリルをつけるだけだ。「君も早くワンピース作って。あたし、これが終わったら、一度家に帰るから、そのあとこの子の下着を縫ってあげる。」
どうやら、作業が順調に進みさえすれば、今日で全ての工程が完了しそうである。

僕は、何となく淋しいと思って、ワンピースを作る手つきを鈍らせる。それでも彼女の作業は一貫してきびきびと進み、僕が朝の支度をしている間にエプロンを完成させ、一度家に戻り、昼前には再び僕の部屋に押しかけて、ミニチュアのブラジャーとパンティ、ガーターベルトストッキングを一気に作り上げてしまう。
日が沈みかけた頃、僕のワンピースも終に完成してしまい、彼女が人形に服を着せてゆく。丁寧に丁寧に、まるで自分の子供に服を着せるみたいに。最後にカチューシャをつければ、立派なメイド人形の完成だ。
「終わった、終わった。お茶でも煎れようか、そういえばずっと作業してたから、つけてなかったけど、テレビでも見る?」
「辞めてくれ、テレビなんて見たくないさ。何でテレビなんて・・・それに茶は小便に行きたくなるから遠慮するよ。」僕は男の癖に人一倍トイレが近いのだ。そのせいでいつも飲み会では、せわしなく五分に一度ぐらいのペースで用足しに立たされる有様だ。

「ふん、じゃあ何でテレビが在るのさ、しかもビデオデッキまで。」
「選択のためさ、見たいものだけを見る。僕が選んでやってるんだ。連中ときたら好き勝手にくだらない番組ばかり。それでも皆見るしかないんだ僕らは生まれた時からテレビに囲まれてるんだからね。」

例えば、マクドナルドってのがいい例だよ、お子様セットを安く販売して、親はメシ代が安く済むし、おもちゃも付いててこどもが騒がないから、子供たちに沢山食べさせる。するとお子様セットでその時に店が元を取れなくても、大人になっても子供の頃からハンバーガーを食べ続けた子供たちは一生マックのお得意様になるんだ。長い目で見れば元は取れるって話さ。 
テレビも同じさ、子供の頃から、アニメやらお笑いバラエティー番組を見せ続けて、テレビ無しでは生きていけない大人を作るんだ、マスコミ、芸能界の放送する番組を面白いと思える人間を作り、番組はますますテレビ局と有力芸能プロダクションの連中の内輪で騒ぐものになってゆく。
それが、ただ視聴率を稼ぐ為にされているのならいいよ、でも僕は友達を題材にドキュメンタリーを撮ったことがあってね、Kっていう友達なんだけど、すこし子供っぽいというか、独特のキャラでね、面白いからビデオカメラ片手に追っかけたのさ、でも結局そういう足で稼ぐ取材なんかで作品の方向性が出てくるわけじゃないんだよ。字幕とかBGMとかそんな簡単なもので内容は一変してしまう、それからというものニュースなんてろくに見れないよ。
しかも、最近のニュースにはコメンテイターという連中が寄生して、何だかんだニュースに対して自分の意見を言ってくる。連中だけならまだしも、今時のニュースキャスターは、そういった寄生虫連中に感化されて、自分たちも評論家気取り、そしてニュースは只のショービジネスに成り下がってしまったのさ。

 世田谷で子供が車に轢かれました・・・悲しい事件です、子供の母親の気持ちを考えるとやり切れません、国はもっと制度を整えるべきなのです!

 農政大臣の政治献金横領発覚・・・ねぜ、国民の代表であるべき彼等が、このような非道徳的な犯罪に手を染めてしまうのでしょう、国民はもっと目を光らせるべきです!

 東南アジア、レイテ島で大地震、死傷者、行方不明者多数・・・何と痛ましい事件でしょう、この番組では、この災害に対する寄付金を募集しています、以下の電話番号に。



8月6日(月)09:32 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理

コメントを書く
題 名
内 容
投稿者
URL
メール
オプション
スマイル文字の自動変換
プレビュー

確認コード    
画像と同じ内容を半角英数字で入力してください。
読みにくい場合はページをリロードしてください。
         
コメントはありません。


(1/1ページ)