兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



第三章、『TV泥棒』④

※ 

よく、満員電車に乗り込むと、女性と体を密着してしまう時がある。あの感触。自分より二度ほど高く感じる体温、表面は柔らかいというのに、内部に骨格が通っていて、確かな反発がある。想像以上の感触、もし、お互いに服を着ずに密着しあったら、あまりの快楽で気が狂ってしまうだろう。
僕はベットを彼女に譲り、寝巻きには我が家で唯一の女性用の服といえるメイド服を支給した。風呂上りのメイド服姿の彼女は、前に彼女がそれを着たときに比べ数段、艶っぽく魔力が篭っているように見える、やはりメイド服の下に下着を履いていないせいだろうか、彼女曰く「風呂上りに古い下着を着るのは嫌だ」という事らしいが、何のために下着を着ていないということを宣言したのか僕には理解できない。
もしかしたら、誘っているという奴か・・・くそ、気が変になる。僕は、部屋に作り付けのワンドア冷蔵庫から氷を出して、コップに落とす。焼酎を注いで、それを飽きるまで何杯も飲む事にする。三杯目を飲んだ辺りから、気分が良くなり、五杯目の時には、彼女のベットにもぐりこむ。
 
「ねえ、君結構料理作るでしょ、こんな小さいキッチンじゃ、料理作るの楽しくないんじゃないかな?」彼女のあまりにも性的でない質問は、このシュチュエーションにはあまりにもミスマッチだ。
「そうだね、だから時々思いっきり料理したい時なんかは、友達の家に行ってマーボーナスだの回鍋肉だの作るんだよ、中華は火力が一番だからね。
「あたしの部屋の台所も狭くて、特に冷蔵庫がここと同じでワンドアの直冷式だから、容量は少ないし、野菜は油断してると凍るし、時々霜取りしなきゃならない。それに何より姉が料理もろくに出来ないくせに、よく台所汚すのよ、やんなっちゃう。」
「確かに霜取りは面倒だな、最低でもツードア式のファン冷却タイプの冷蔵庫が欲しいなぁ。」
「一緒に家でも借りて、住もうか、そうすればツードアのファン式の冷蔵庫置がける。」
「僕たちは恋人同士じゃないからな・・・白状すると僕はまだ君を詐欺師じゃないかって疑っているんだ。だって動機に説得力が無いじゃないか、姉の過ちの尻拭いだとか、大きなキッチンが欲しいとか、そんな理由でよくも知らない男と同じベットに入るだなんて、全くおかしな話じゃないかい。」
「あなたが思ってるほど、現代の『性』ってものの値段は高くないんじゃないかな、例えば今じゃスーパーマーケットでもコンビニでも避妊具の一つや二つ売ってるしね。」
「そうかもしれない、でも、それならなおさら、君を信じる訳にはいかない。スーパーマーケットで売っているような約束なんて、信じるわけには行かないんだよ。」
「別に、信じてなんて言ってないよ、これは単なる提案。なんなら少し譲歩したっていい。一緒に暮らしてくれたら、あたしは家に居るときはこの服のままの服でいてあげてもいいよ。悪くない条件じゃないかな?」
「一体、何を望んでいるんだい、ますます怪しいよ。」
「白状しようか、」
「僕が好きなのかい?」僕は、彼女の二の腕を勇気を振り絞り触ってみる。
「残念だな、何ていうかな好みのタイプってあるじゃない、悪いけれどキミはそれに当てはまらないんだな。こうやって、隣に寝ていても、二の腕触られても、ドキドキしないし、だいたいこの人だって思う人には、出会ったときにピンとくるものがあるじゃない。」
「結局君は、遺伝子の作り出すエゴに操られてるだけなんだよ。好みのタイプが一目で判断できるってことは、この異性と交配すればいい子孫に恵まれるという野性的本能の表れに他ないんだ。例えば僕の場合、家の家系は貧乳の家系だから、僕はそういった遺伝子的な偏りを解消するために、遺伝子から、おっぱいの大きい女の子に好感を持つように命令されているんだと思う。」
 「ははは、じゃあ君はあたしがタイプの異性だって言うの?」メイドさんは少し大きめの自らの乳房を横で寝ている僕の腕に、わざとらしく押し付けながら笑った。その二国間の停戦ラインの緊張を破るような行為に僕は宝くじに当選したような、勘違いな悦びと戦慄を感じるも何とか平静を装う事に成功する。
 「まさか、メイドさんは異性じゃないよ、僕は男だからね、僕にとって異性ってのは人間の女性だけじゃないか、君はメイドさんだろう、奴隷なんだ。奴隷は人間じゃないんだよ、思い上がるのもよしてくれないか。」
 「ふん、じゃあ、そんな奴隷に欲情する君はよっぽどの気違いって事になるのかな。」
 「ああ、そうだな。でも世の中にはそういう変態的性衝動というものがあってもいいんじゃないのかな?」
 「どの道、そんなんじゃ、いい子供は生まれないよ。」
「その通りさ。現に僕らの娘のお人形なんて、全身麻痺の子供と同じようなものじゃないか。」



8月5日(日)09:17 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理

コメントを書く
題 名
内 容
投稿者
URL
メール
オプション
スマイル文字の自動変換
プレビュー

確認コード    
画像と同じ内容を半角英数字で入力してください。
読みにくい場合はページをリロードしてください。
         
コメントはありません。


(1/1ページ)