兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



第四章、『動物実験』⑤



自らの質問に答えられなかった出来の悪い生徒を馬鹿にするように「あれあれ、メイドは抱けるんじゃなかったの?」とメイドさん。
「僕は何でかな、昔から上手く感情を表現できないんだよ。高校時代の話だけれど、あれは高三の夏休みの受験対策の補修の最中だったな。僕はその頃から哲学かぶれになっていたから、どうでもいい説教をすることに凝っていたんだ。まあ、大した内容じゃないんだけれどね、言葉遊びみたいな物さ。たまたま同じ世界史の補修に参加していた、小学生からからの友人にこういう説教をしたんだ。」
「どんな説教、聞いてあげてもいいよ。」
「ありがとう。それでその説教の内容なんだけど『可愛い』って言葉があるけれど、この言葉の意味は文字通り『愛する事が可能』って意味なんじゃないってね。本当に何気なく、でも自慢げに話したら、彼は凄く納得したようにうなずくと急に立ち上がって、やっぱり一緒に補修に参加していた、その頃の僕らのクラスのマドンナだった女子のところに行って、凄い勇気が必要だったと思うけれど電話番号を聞いていたよ、二学期には彼等は付き合い始めたって噂も流れていたし、彼はそこまで優秀な方じゃなかったけれど、それ以来、猛勉強して同級生の中で一番いい学校に行ったらしい、今どうしてるのかな。」
「君は、そのマドンナさんが好きだったの?」
「いいや、別に。ただその頃、僕に好意を持ってるって噂の女の子が一人いてね。」
「告白すればよかったなってやつかい、ノスタルジーか。」
「それも違うな、別にその子も僕は特別好きだったわけじゃなかったからね。でも、もうちょっと上手くあの頃、立ち回れればなって、今頃になって思うよ。」
「あまり溜め込まないほうがいいな、そういうのは体に良くないんだよ。一種の病気といってもいいよ、こじらすと電車の中で痴漢しかねない。」皮肉でも言っているのだろうか、僕には彼女の真意を推し量る事は全くといっていいほど出来ない。だからこそ今でも詐欺師なんじゃないかと疑っているわけだが。

「痴漢って純粋な性欲だと思う?」
「そりゃ違うだろう、一種の性癖みたいなものさ。」
「違うんだ、あたしの言わんとしたいことはそういうことじゃなくて、もっと根本的な性行動一般に言えることなんだ。性行動自体が性欲だけによるものかどうか、その辺りに疑問があるのさ。」めいどさんはスカートの裾を揺らしながら続ける「人って、人として、他の人とスキンシップをとりたいっていう願望があらかじめ生まれたときからインプットされていると思うんだ。それは性的なことじゃなくて、ただ無性にそういうことを求める無感情なプログラムで・・・」スカートが揺れるたびに彼女の尻の輪郭を想像してしまう。「子供の頃は、親とか兄弟に抱きしめてもらえるからそういう欲求は充足されやすいけれど、大人になるとそうも行かないでしょ、いい年して親とか兄弟とべたべた出来ないし、だからといって、恋人とか配偶者がいないと、容易に触れる相手もいない。そう思うと結構、淋しい気分にならない?」
「君は、僕に触って欲しいの?性欲を伴わない、スキンシップ欲求だなんて、少女趣味もいいところだよ。」
「男って嫌だな。」特に怒った様子も無いのが余計に危険なサインだろうか。僕も男なんて疲れたよ、でも男が男をやめるのって無理なんだ。僕はつい先日の明け方、身を持ってそれを体験したね。



8月13日(月)09:00 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理

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