少しだけ先の話。 |
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| 岩盤が崩れて出口がふさがれ身動きの取れない炭鉱父、特攻機に乗せられた兵隊、柱に縛られて近くに時限爆弾を置かれた人質、今からガス室に入れられるユダヤ人。
みんなこのままじゃもうすぐ死んじゃうし、それを回避するのは凄く難しい情況に立たされている。
例えば僕も今そういう情況。そしてそんな情況に立たされて思うのは、ちょっとした絶望。
別に死んじゃう事への絶望じゃな無い。僕が絶望しているのは、こんなに象徴的な情況に置かれていると言うのに、時分が全くもって大した思想的飛躍が出来ないという事についてだ。
今まで僕みたいな人間なら、もし死が目前に控えるようなそんな情況に追いやられたのならば、きっと今までどんな哲学者も考え付かなかったような、素晴らしい思想が頭の中から湧いてくるはずだって信じていたのだ。
でも実際、そういう立場に立たされると、人間なんてだいたい皆同じようで、家族の事とか、今までの自分の人生とか、そういうつまらないことを考えてしまう。
あーあ、つまらないな。これなら死んだ方がましだね。
そう思った時だった。
「本当に死んだ方がマシね。」
隣でメイドさんがそう言った。僕は何でこんなところにメイドさんがいるのかなと少し驚いたけれど、どうせ死んでしまうなら、これから警察に捕まる心配も無いと思って、メイドさんのおっぱいを触ってみる事にした。
「もうっ、本当に死んだ方がいいよ。」
メイドさんは少し怒ってしまったようだ。でも一度おっぱいを触るともっと触りたくなった僕はメイドさんに「もっとおっぱいを触っていたいな」と正直に言ってみた。人間死ぬ前は、本当に自分に正直になるもんだ。
「お乳を揉むのはかまいませんが、でも、死んじゃったら揉めませんよ。」
さすがメイドさん、鋭い意見だね。さあ、どうしたものか、前々から狙われているとは思っていたのだ。今僕の隠れている建物を、ある有名な宗教の信者たちが思い思いの武器を持って取り囲んでいるのだ。
こうなる事は解っていたのだ。僕がおっぱいメイド教を創設した時からずっと。
だってそうだろ、みんな良く知りもしない、凄い昔に死んだ何処かの外国人のおっちゃんの作った宗教より、おっぱいなメイドさんの方を信じるってことぐらい。
だから、僕は全ての一神教の信者さん達から危険視されているのだ、現に他の宗教から、僕のおっぱいメイド教に改宗した人間は極めて多いし、今まで特定の宗教を信じていなかった人々の多くも、おっぱいメイド教の信者に成っている。
だからこそ、信者を奪われたりしている、他宗教の人々から僕は危険視されているのだ。
でも、これはとんだ逆恨みだ。僕は、ただただ、メイドさんのおっぱいの素晴らしさを説いていただけなのに、ましてや壷も掛け軸も売った事が無いって言うのにね。
それにしても、メイドさんのおっぱいは柔らかいなぁ。
「どうするんです?このままじゃあなたは絶対殺されちゃうよ。」
殺されるのはやだなあ、でも逃げ場所も無いんだよな。さてどうするか?どうしようも無いんだよな、と思うと、悲しくなるけれど、それ以上にメイドさんのおっぱいは柔らかい。
そう、まるで溶けてしまいそうなんだ。
窓の外がとろけて歪み始めている。本当に窓ガラスが、火炎放射器で溶かされているのかもしれないね。でも、そんなこと忘れるくらいメイドさんのおっぱいは柔らかい。
ああ、ほら、敵が解けた窓から入ってきちゃよ、まずいなぁ本当に、でも、そんなこと、どうでもいいくらいメイドさんのおっぱいは柔らかい。
わっ、マシンガンの弾丸が体を貫いてゆくし、火炎瓶で服が焼かれているよ、でもそんな退屈な事どうっていいじゃないか、だって、メイドさんのおっぱいが柔らかいんだから。
僕が次に意識を取り戻した時に、メイドさんのおっぱいが、まだ僕の手の中に有れば本当に嬉しいだろうなって思う。でも、それはきっとずっと後の話だろうな。
まあ、そんなことを受話器の向こうのメイドさんに話して僕は電話を切り手帳をめくります。さて、何時復活できるのかな?キリストは三日ぐらい使ったらしいけれど、今の時代じゃおっぱいメイドと、栄養ドリンクのおかげで、一晩も寝れば元通りになるって話だよ。
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6月26日(火)21:50 | トラックバック(0) | コメント(0) | シュールレアリズム | 管理
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