メモリー |
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| ヒコーキは僕らの頭上を過ぎてゆき、三秒後に撃墜された。
「亀が着たんだわ!」メイドさんが悲鳴を上げる。
亀はその流線型のボディーと羽のような前足で本当に嘘みたいに上手く飛び、ヒコーキの2、3機簡単に落としてしまうのだ。
「さあ、亀を狩るんですよ。」とメイドさんはこれまた簡単に言ってのけるから、僕は少し腹が立って、メイドさんを混乱させてやろうと少し意地悪をする。
「昨日、僕が見た夢なんだったか知ってる?」
「夢で遭えたら素敵ですね。」
「ソープランドに行く夢を見たんだ。あんまり綺麗な子も若いコもいなくてね、ただ一人おっぱいの大きいコがいて・・・」
「主人様はそのようなお店に行ってみたことあるんですか?」
「無いよ。」
「それなら、そんな話やめにしてくださいよぉ。」メイドさんは案の定、もうメモリの限界に近いようだ。
神は自分に似せて人を作ったように、人間も自分に似せてメイドさんを作った。言うなれば、神の普及品が人間であり、また人間の普及品がメイドさんなのだ。
だから、人が神と同じように全能でないのと同じで、メイドさんも人に比べると、機能の制限が幾つからるのだ。
そして、その一つとしてメイドさんのメモリーは人間と比べるとその容量は、少々少ないものになっている。
しかし、だからといって、それが日常生活に支障をきたすような致命的な欠陥になる事は無い、そう、アイドル状態では人間もメイドさんも、そう大した処理速度の違いは見受けられない、しかし高負荷状態になるとそうはいかない、選別品と普及品の違いがそこに現れるのだ。
だから、メイドさんはイレギュラーな状態に弱いのだ。
亀は旋回しこちらに向かいながら、またヒコーキを何台も落としてゆく。
「どううするんですご主人様!」メイドさんは混乱している。亀なんて放っておけば何の悪さもしないのに、自衛隊もメイドさんもご苦労なこった。
「じゃあ、試しにそこに四つんばいになってみてよ。」僕がそういうと、メイドさんは素直にそうする、混乱時のメイドさんは、思考する容量が不足している分、とても素直に言うことを聞く。
さて、僕は四つんばいになったメイドさんの後ろから、彼女に覆いかぶさる。「いやぁ、」メイドさんは悲鳴を上げる、亀はまだ空を旋回し続けている。
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7月13日(金)21:52 | トラックバック(0) | コメント(0) | メイドさん | 管理
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