置いてきた事。 |
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| 母は、半年に一度ハンドバックを新調し、三ヶ月に一度、トートバックを買い足した。
そんなに早いペースでは無いけれど、彼女の鞄は増えていく一方だ。
両親の夫婦仲は、そんなに良くも無いし、そんなに酷くも無かった。父親は仕事が忙しく、あまり家に寄り付かなか無いくせに、四人兄弟の末っ子だったから、甘えん坊で、年長の叔父や叔母などの親戚にの前では頭が上がらなかった。
で母親もそんな父親に少し愛想を尽かしていた。依頼心が強くて楽するために結婚をした母親にとって、結婚後に発覚した、そういった父の本性は契約違反もいいところだったのだろう。
まあ、ここまでの話だとまるで冷え切った夫婦に聞こえるかもしれないけど、家庭自体は時々波乱はあるけれど、だいだい通常通りの運行が繰り返されていた。
平坦な、冷えて落ち着いた日常が続いていくのだ。
僕はそんな家庭を将来作りたいとは全く思わなかった。
でも、最近淋しくて仕方ないのだ。高校生や大学生の時のような、孤独とは全く違う孤独。それが孤独といえるかどうかさえ解らない。体温が欠如してしまっているような感覚。少し怖くなる事もある。
個人差はあるかも知れないけど、ある程度の歳に成ると家庭を作りたくなるのは、こういう寂しさのせいなのだろう。
恋愛とは全く別の話だ。
だから、子供を作ることも、もしかしたら、そういったものとは全く別の問題で・・・性欲にろるセックスと生殖のためのセックスと愛情表現としてのセックスは、もしかしたら、同じ性でも、全く別のもので、
「結婚相手とのセックスは、生殖のためだから、子供が出来た後は、セックスしなくなるって事?」じゃあ、僕らのようなメイドさんと主人の間の性は一体なんなのだろうか?
どちらにしろ、僕等が恋人同士になったり、家庭を作っつたりするのは考えづらい。でも、家庭ってなんだろう?
普通の夫婦が僕の両親のようなものなら、普通でない家庭の方が、いいのかもしれない。
大丈夫、僕は結構変わり者らしいから、普通の家庭はきっと作れないと思う。だから心配なんかしなくたっていいと思うのだ。
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5月4日(金)20:34 | トラックバック(0) | コメント(0) | シュールレアリズム | 管理
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