兄目線でアニメ
 
アニメに対する、視点、論点、あと,メイドさんとか、自作PCとか、鉄道とか酒とかな話。
 



2007年7月を表示

第一章、『詐欺師姉妹』①

1 詐欺師姉妹

まず登場人物について話しておこう。この小説は、私小説だから、まず主人公の「僕」がいる。そして、あと一人重要人物が居て、彼女の名は、といっても僕は彼女の名を知らないので、役職名で「メイドさん」と呼ぶことにする。

「メイドさん」といっても、秋葉原とかのメイド喫茶にいるメイドさんとは別物だ、あれがメイドさんを題材にして作られた、作り物のメイドさんなら、我が家のメイドさんは本物のメイドさんだ。と言ってみたいところだけれど、彼女も単なるそういった「まがい物」の一つだったのかもしれないな。
あと、ここまで「メイドさん」を連発しておいて、小説を読んでいるあなた方に、こういうことを言うのは言い訳がましいかもしれないけれど、この小説は、所謂、オタクの読み物とか、アキバ系の話では無いのであしからず。
確かに、僕自身オタクであると思うし、「メイドさん」という存在自体、極めてオタクくさいニュアンスがあるけれど、別にこの作品でそういったオタク系のことを中心に語ろうとか、僕は思っていないのだ。「じゃあ何故、こんな誤解を招くような事を書いたのか?」と訊かれれば、それは僕がオタクだから、日常にオタク的要素がある以上、私小説を書けば、そういう単語も出てしまう方が自然だと思ったからで特に拘りとかはない。
そうだ、僕はもう子供でないから、自分がオタクであることを認識できても、あえてオタクであることを誇るほどの元気はないのだ。
だから、もし、この作品が完成でもして、何となく僕が出版社に持って行ったりして、主人公がオタクという設定は、蛇足だからそういう描写は削ってくださいといわれたら、僕は「メイドさん」を「家政婦」とあまり躊躇なく書き換えてしまうかもしてない。

まあ、事前の説明はこれくらいにして、そろそろ僕とメイドさんの奇妙な同居生活についての話をいよいよ始めようと思うのだ。



僕とメイドさんの出会いについて話すには、まず僕が学生時代の頃まで遡らなくてはならない。
始めに、断っておきたいのは、別に僕は、このメイドさんとの出会いのエピソードで、そんな怖い話をするつもりは無かったって事。
僕としてはどちらかといえば、SFに近い話にするはずだったのに、ただ結果的に怖い話なってしまっただけなんだと思う。
まあ何で、メイドさんとの馴れ初め話がホラーに成るんだと改めて考えれば、別にこの話は怖い話じゃないのかもしれない。そう、きっと、この話を怖いと思っているのは、本当は僕ぐらいなもので、他の皆にとっては、こんな話は単なる奇妙な笑い話にしか成りえないものに違いないのだ。
そうさ、この恐怖は、僕と同じような経験をした者か・・・はたまた人形作家ぐらいにしか理解できないものなのだろう。
だから、この話を怖い話か、そうでないかを決めるのは、この文章を読んでいる、あなたのすることであって、それでも、どうして僕がこの話が怖いと感じるのかと訊かれれば、この話を読み進めてもらえばわかるけど、とりあえず、僕がメイドさんと出会う前、もう一人別のメイドさんと知り合った話からしてみようと思う。

そう、台湾から連れられてきたメイドさんの話。

メイドさんと僕が出会ったのは、さっき話したように、まだ僕が学生の頃だった。その頃僕はといえば、一人暮らしの自由さや寂しさや、サブカルチャーへの心酔から、そのころ仕切りに社会で話題に上げられ始めていた、メイドさんというものに興味を持ち、一応大学生として、そんな興味の対象のメイドさんを、学術的に研究しようと考えていた。僕は良くも悪くも勉強熱心な学生だった。
だから、その研究のために、本物のメイドさんに会って話がしたいと思っていた。そして、そんな折、都合よく現れたのが、あのメイドさんだった。
メイドさんと僕がどのようにして出合ったのかという話はどうでもいいとして、そのメイドさんは、本当にメイドさんらしいメイドさんで、まるで漫画やアニメから飛び出したみたいに、顔は童顔、背も高くない割りに、西洋人みたいな金髪で、肌も少し白めで、馬鹿みたいにスタイルが良く、特に胸は大きくて、見ているだけで心が弾んだ。

話によれば、そのメイドさんはアジア人の母が西洋系の男性に強姦され生まれた子供なのだという。生まれたのは台湾だが、物心ついた頃には、この国に渡ってきて、色々あって今は主人の下で働いているという事だ。まるで夢見たいな話。
僕はそんな、恰好の研究対象であるメイドさんと知り合ってから、研究の名目で何度か逢い、喫茶店や居酒屋で話をした。その時のメイドさんの僕に対する態度は、とても良好に見えたので、いつもは猜疑心に支配されている僕も、今考えれば迂闊なことだけれど、何時しか心を許していたのかもしれない。
だって、それまで女性と交際した事もなかった僕が、こんな可愛らしいメイドさんと楽しく二人で酒を飲んでいるのだから。

これはやっぱり、夢みたいな話だ。

そう、あの時メイドさんは正しく僕にとって友人だった。しかし、その友情という、僕からの一方的な一種の幻想は、あの居酒屋での会話で、いとも簡単に、崩れ去ってしまう。
今思えば、当然の結末だと思う。けれども、あの時の僕にとっては、勘違いであったとしても、メイドさんは、繰り返すけれど紛れも無く良き友人だったのだ。



7月19日(木)21:10 | トラックバック(0) | コメント(0) | 私小説 | 管理

やわらかメイド

やわらかメイドのお乳は二つ、挟まれたい、挟まれたい・・・


7月16日(月)09:16 | トラックバック(0) | コメント(2) | 趣味 | 管理

空想実験

あれは街を歩いている時だった。急に降り出した雨から逃れるために、僕は狭いながらもアーケードのある裏路地に入っていった。

そこは、古い商店街の跡地で、今は風俗とシャッターの閉まった店しかない、昼でも薄暗い場所で、この街の人間は、よほどのことがない限り、近づこうともしないし、無論僕もその一人だ。

しとん、しとん、アーケードの天井は劣化が進み雨漏りしている箇所も多い。ここを向こう側まで抜ければ駅前の商店街の外れまで行く事が出来るが、例え昼であっても寂れて暗くその上、治安の悪いこの路地を一人で渡りきるには少々勇気が必要だ。

僕は後ろを振り返る。雨は全く止む気配がない。

この路地を迂回して駅まで行こうとすると、殆ど屋根のない道を歩かなければ成らない、傘がない以上、雨が止まない限り僕はここを通るより他ないだろう。

意を決して、僕は歩きはじめる。雨漏りのある部分は既に水たまが出来ているから、それを避けて進めば雨に濡れる心配はない、それにしてもまだ昼だというのになんて薄暗いところだろう、アーケードの天井に付いていた蛍光灯も明り取りの窓も、ろくにメンテナンスされていないせいで、路地内の光源は唯一ピンク色の風俗店のネオンぐらいだ。

しばらく歩くと、アーケードの中腹部分にたどり着く、そこは少しだけ道幅も広くなりちょっとした広場のようになっていて、僕が小さい頃などは、まだそこそこ活気のあったこの商店街のイベント会場に使われていた。

南北に流れるこの路地の広場の西側は小さな商店が何件かで構成されているのだけれど、西側は昔病院として使われていた大きめの建物がその面を独占している。

よく、遊園地に廃病院をモチーフにした、お化け屋敷などがあるけてど、これは本物だ。路地の商店街が廃れると同時に病院も閉鎖し、その後に一度この建物は病院っぽさを残したマニアックなラブホテルに改装されたが、幽霊が出ると噂が立って、その影響でラブホテルが潰れると、そのまま廃墟になり文字通り本当のお化け屋敷になってしまったのだ。

今でもよく、風俗帰りの客や、肝試しに着た不良が、お化けに化かされて、財布の中身をすっぽり取られてしまうという。

「今じゃ、お化けだって、お金なしじゃ暮らせないんだな。世知がないね。」何か喋ってみれば落ち着くとも思ったが、そうも行かなかった、なんせ、僕の目の前に現れた病院跡地は、いつの間にか綺麗に改装されてしまっているのだ。

ああ、化かされているんだ。僕は漠然と思う。最近のお化けは芸が細かいな、芸は身を助けるって言うけれど、幽霊にはもう「身」なんて残ってないというのに。

その建物の壁はクリーム色に塗られ、ピカピカに磨かれた窓ガラスからは中の光が漏れている。病的なこの路地のど真ん中にこんな健康的な場所があるだなんて、やっぱりおかしい、化かされてるなとは思いつつも、少し興味を引かれて、建物の前で立ち止まる。

「メイドさんポスト」看板にはそう書いてある。僕はメイドさんが好きだから、その看板を見てちょっとだまされてもいいかなと思い始めている。

幸い今日はキャッシュカードも免許証も財布に入れていない。中身が数千円だけしか入っていない財布なら、中を空っぽにされてもそこまで困らないだろう。


長く成っちゃったので、続きは今度。



7月15日(日)18:48 | トラックバック(0) | コメント(0) | メイドさん | 管理

メモリー

ヒコーキは僕らの頭上を過ぎてゆき、三秒後に撃墜された。

「亀が着たんだわ!」メイドさんが悲鳴を上げる。

亀はその流線型のボディーと羽のような前足で本当に嘘みたいに上手く飛び、ヒコーキの2、3機簡単に落としてしまうのだ。

「さあ、亀を狩るんですよ。」とメイドさんはこれまた簡単に言ってのけるから、僕は少し腹が立って、メイドさんを混乱させてやろうと少し意地悪をする。

「昨日、僕が見た夢なんだったか知ってる?」

「夢で遭えたら素敵ですね。」

「ソープランドに行く夢を見たんだ。あんまり綺麗な子も若いコもいなくてね、ただ一人おっぱいの大きいコがいて・・・」

「主人様はそのようなお店に行ってみたことあるんですか?」

「無いよ。」

「それなら、そんな話やめにしてくださいよぉ。」メイドさんは案の定、もうメモリの限界に近いようだ。

神は自分に似せて人を作ったように、人間も自分に似せてメイドさんを作った。言うなれば、神の普及品が人間であり、また人間の普及品がメイドさんなのだ。

だから、人が神と同じように全能でないのと同じで、メイドさんも人に比べると、機能の制限が幾つからるのだ。

そして、その一つとしてメイドさんのメモリーは人間と比べるとその容量は、少々少ないものになっている。

しかし、だからといって、それが日常生活に支障をきたすような致命的な欠陥になる事は無い、そう、アイドル状態では人間もメイドさんも、そう大した処理速度の違いは見受けられない、しかし高負荷状態になるとそうはいかない、選別品と普及品の違いがそこに現れるのだ。

だから、メイドさんはイレギュラーな状態に弱いのだ。

亀は旋回しこちらに向かいながら、またヒコーキを何台も落としてゆく。

「どううするんですご主人様!」メイドさんは混乱している。亀なんて放っておけば何の悪さもしないのに、自衛隊もメイドさんもご苦労なこった。

「じゃあ、試しにそこに四つんばいになってみてよ。」僕がそういうと、メイドさんは素直にそうする、混乱時のメイドさんは、思考する容量が不足している分、とても素直に言うことを聞く。

さて、僕は四つんばいになったメイドさんの後ろから、彼女に覆いかぶさる。「いやぁ、」メイドさんは悲鳴を上げる、亀はまだ空を旋回し続けている。



7月13日(金)21:52 | トラックバック(0) | コメント(0) | メイドさん | 管理

忘れる前に。

メイドさんの中に小さなメイドさん。メイドさんはそうやって増えてゆくらしいのだ。

けれども、今年の夏は猛暑で、しかも打って変わって秋は冬のようで、その温度差は大きく、揮発性の高いメモリを採用したメイドさん達の脳は、次々に繁殖の方法を忘れてしまい、今では増え方を忘れたメイドさんが何とも清楚に振舞っているのだ。

「ねえ、主人様、私何かとても大切な事を忘れてしまっているようなのですが。」

僕は、気のないフリをして、メイドさんに答える「そんなこと君の問題だろ、主人である僕が考える事でもない。」

「そんなこと言わないでください、私だって困っているんです。」

メイドさんの中の小さなメイドさん。それは何時生まれるのだろう?

「ただ、一つ言えることは、僕はまだ忘れてないって言う事、僕が忘れない限りは、まだまだ希望は残っているはずなのだ。



7月12日(木)20:59 | トラックバック(0) | コメント(0) | 小説・文芸 | 管理


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